エルモット

作曲科から彫刻家へ。木の心を掘り出す仏師、吉原満さんのアトリエを訪問してきました。

作曲科から彫刻家へ。木の心を掘り出す仏師、吉原満さんのアトリエを訪問してきました。

2022/04/28

朴訥で優しい仏像を生み出していらっしゃる、
仏師の吉原満さん。

50年以上も続ける仏師の心の中を、
チラ見させていただきたい!

茨城県龍ヶ崎にある
吉原さんのアトリエを訪問して、ルーツをお聞きしてきました。

Contents

1.音大の作曲科から、仏像彫刻へ。

2.師匠を探して弟子入り。

3.最初の半年は「研ぎ」ばかり。

4.制作で一番大事なことは・・・

5.木との対話

6.思想的なものを深めたい

7.木の思いを感じながら

8.インタビューの感想

9.彫ってみたい人は・・・

音大の作曲科から、仏像彫刻へ。

吉原さんは音楽大学で作曲を学んでいらっしゃったそうです。

西洋の音楽は、教会音楽に行き着きます。
教会音楽はキリスト教の知識がなければ、解りません。

そこで翻訳の音楽書を読むのですが
とにかく分かり難い!

解らないものをいくら頑張っても敵わないと思って
方向転換されます。

母方のお祖父様が、お寺の梵鐘を作っていらっしゃったのを
子供の頃から見ていたことを思い出し、
この方面に進もう。と決意。

不思議と、迷いはなかったそうです。

富士宮や鶴見、浅草にも、お祖父様の作られた梵鐘が現存するそうです。

師匠を探して弟子入り。

最初は独学で彫っていたものの、
やはり師匠について学びたい・・・

誰か良い師匠はいないかなあ・・・

すると友達が、三越百貨店の仏像展の案内をくれたので
見に行きました。

その仏像展のパンフレットには、何人もの仏師の名前が載っていたので
その名前だけを頼りに、連絡先を探してみました。

当時はインターネットなんて当然ありません。

電話帳を、しらみつぶしに見ていきます。

そして・・・

連絡先が発見できた、唯一の師匠が
東京の北区十条にお住まいだったのです。

最初の半年は「研ぎ」ばかり。

その親方に会いに行ったところ
「観音様を彫ってみろ」
と初っ端から難題を出されました。

作って持っていったところ、
弟子入りを許されました。

最初の4〜5ヶ月は、彫刻刀の「研ぎ」ばかり。

自由に研げるようになったら
簡単な模様や、球を彫りました。

「球」を最初に作る理由・・・

それは、球体は材木のすべての面を
磨かなければ作れないからです。

材木には、削りやすい面、削りにくい面、があります。

樹木を輪切りにした断面(木口)が
一番、削りにくい部分です。

この木口をどう処理するか?が、技術になります。

球体を作ることによって、扱い易い面/扱い難い面を
全体的に体験し、
実体験を通して、木を理解してゆきます。

制作で一番大事なことは・・・

実際に作品を制作するにあたり、
一番難しいことは何だと思いますか?

それは
「細部までイメージすること」
なのです。

彫る前に「しっかりイメージする」ことが
一番難しいのです。

例えば、球体を作るのであれば
頭の中で完全な球体が出来上がっていれば
制作は、そんなに難しいものではありません。

作品を、上からも下からも斜めからも、ぐるりと360度、
どこから見ても細部までイメージできていれば
彫る技術は問題ではありません。

しかし初心者は、
イメージがしっかりできないものです。

球体を作ろうとして、楕円になったり
直角と思っても、台形になっていたり。

「細部まで、ありありとイメージできる力」は
非常に重要な能力です。

木との対話

また、「木」も生物です。
一つひとつに個性があります。

木に彫刻刀を入れた時に
「こっちから削っちゃダメ!」などと
信号を発しています。

その信号をキャッチできず、
自分の思う通りに強引に削っていくと、
割れたりしてしまいます。

彫刻刀を入れた時に感じる、
木からのメッセージ。

彫刻作業は、
この微妙な感覚をキャッチしながら行う、
「木との共同作業」です。

全員が同じものを作る必要はない。

 

個性 + 木の意識

 

これがうまく合わさったものが出来れば
一番良いです。

「自分の内面」と「木の意識」がマッチしていれば
最高です。

「木」が何を望んでいるのか
「木の意識」を感じ取りながら、彫っていく。

上手く作ろうと思わないこと。

上手いのは、「上手い」それだけです。
その奥にあるものまで掘らないと、
意味がない。

ある時、いつも使う彫刻刀を購入するために
出入りしていた彫刻刀屋さんから
「講座を手伝ってほしい」と頼まれて
アシスタントの仕事を始めました。

この講座に、いろんな人が来ます。

模型が好きで入ってくる人
信仰があって入ってくる人
ただ彫りたい人

様々なリクエストがあります。

狛犬を彫りたい
弥勒菩薩を彫りたい

わがままな人のお陰で、
レパートリーが広がりました。

思想的なものを深めたい

色んなものを掘りましたが
綺麗なものを作っても、面白いと感じないのです。

精神性を感じられるものを作りたい。
仏教の、思想的なものを深めたい。

そして仏教を学び、
精神性やスピリチュアル分野の造詣を深めてきました。

木の思いを感じながら

以前は「いい顔」を彫ろうとしていました。

今は、木がどんな形になりたいと思っているのか
感じながら彫っています。

来てくれるように彫れればいい、と思うようになりました。

最近、近所を散歩していて
雑草を取ったりするのですが

「雑草も仏像も同じだな」と感じます。

恣意的なものではなく、
自然に、企みなく、できているのがいい。

今は、禅宗の始まりの風景を彫りたいと思っています。

お釈迦様が弟子たちに、蓮の花びらを見せた。
弟子のうちの1人だけが微笑んだ。
その瞬間、その弟子に釈迦の知恵が全て伝わった・・・

その風景を彫りたい。

インタビューの感想

吉原さんとの出会いは、実は、
カシュカシュのヒーリングセッションに
来てくださったのがご縁でした。

何度もお会いしているうちに、
ピカソの有名な言葉を思い出しました。

『ようやく子どものような絵が描けるようになった。
ここまで来るのにずいぶん時間がかかったものだ。』

恣意的でない美しさ。
それを作ろうとする「素」の心。

そんなピュアな波動を吉原さんに感じて、
「ぜひインタビューさせてください」とお願いして
今回のご訪問が叶いました。

とにかく素敵です。
リクエストすればオーダーも受けてくださるそうです。
「毘沙門天がほしい」とか「恵比寿様がほしい」とか?

ご希望の仏像を探していらっしゃる方はぜひ
ご予算を決めてご相談されてくださいね♪

彫ってみたい人は・・・

吉原さんは、仏像彫刻の講座でも指導していらっしゃいます。

池袋コミュニティカレッジ

西武池袋本店 別館8階

月曜・木曜・日曜午前・日曜午後
(詳細はリンク先をご覧ください)

日・月曜 = 第1・第3
木曜 = 第1・第2・第3

電話 03-5949-5483

吉原工房

茨城県・龍ヶ崎市役所近く
毎月第4日曜日
電話 0297-62-5432
(留守電にメッセージを残してください。)

About me

 かしゅっち 

エルモット村役場・都市計画担当。 わがままで自分中心なんだけど、そんな自分を許しつつ、本人なりに精一杯の愛を体現しているつもりでーす。

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エルモット村
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